富士ハウス事件の高裁判決に思う
いわゆる富士ハウス事件の被害をめぐり、元社長に対して被害者が求めていた
損害賠償請求について、東京高裁の判決がくだされたようです。
ニュースソースはこちらです
→http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20130508/614209/
同社は資金繰りが悪化してから、顧客(建築主)に対して、着工前の段階で
請負金額の70%を支払わせて、資金繰りに充てていたようです。
注文住宅の請負代金支払いといえば、着工前、中間、引き渡しの三段階で
3分の1ずつ行うのが慣例だと思いますが、それに比べると同社の状況は
異常であったようです。
非常に苦しい経営状況にあることを知りながら、倒産寸前まで、積極的に
顧客から着工前の請負代金を受け取っていたことに、当時の代表取締役として
金銭で責任を取るよう、求めているというものです。
東京高裁は、元社長の賠償責任を限定的に判断し、メーンバンクから支援の
打ち切りを伝えられた日から、破産が決定された日までの2週間に絞りました。
原告のうち、この期間に該当するのはおよそ4分の1の人数になるようです。
4分の3の方はその前にお金を支払っているのです。
さて、この判決内容にも甚だ疑問を感じますが、今回は建設業許可や経審の
手続きを日常の業務としている行政書士として、あたためて建設業許可業者が
毎年の義務としている、決算後の変更届の重要性をお伝えしたいと思います。
変更届が土木事務所(大臣許可業者は県庁建設業課)に提出されますと
定められた保存期間においては、県庁の閲覧室で、どなたでも、自由に、
どの会社(個人事業も含めて)の決算書の内容でも、閲覧することができます。
建設工事の成果物(建物や工作物)は、注文があってから作り始めるもので、
顧客からすれば、まだ出来ていない仕事に対して、3分の2ほどの代金を
支払わなければならない、という大きなリスクを抱えています。
富士ハウスの被害者を見てのとおり、住宅ローンを融資する金融機関が、
注文先の建設会社が健全かどうかを保障してくれる訳でもありません。
施主が、自分でリスクの判断をしなければならない時に、この変更届で提出された
決算書(財務諸表)をもっと活用すべきだと思います。
もちろん決算は一年に一度ですので、会社のタイムリーな状況までは、把握を
することはできませんが、ひとつの有力な判断材料となり得ます。
建設業者の方も、この制度を積極的に活用して、お客さんからの信用を高める
ツールにしていただければと考えています。
大きな会社だって何があるかわからない、ということが消費者に浸透してきて
いる現在ですから、発想を変えれば、財務状況という分野においても、
小さな会社に選ばれるチャンスがあるといえるのではないでしょうか。
先日、青地農地の除外手続きでお客様と打ち合わせをしていた時、同席していた
お父様(土地所有者)が、ご自身の体験をもとに「資金繰りのしっかりした会社を
選んで、家を建ててもらいなさい」とアドバイスされていました。
注文先の工務店が施工中に倒産し、大変に苦労をされたようです。
なにかいい知恵はないですか、と尋ねられましたので、私は建設業許可の趣旨と
変更届の仕組みについてご説明しました。
本制度が有効活用され、win-win の関係が築かれるといいな、と思っています。
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☆街のお助けマン☆行政書士塩崎宏晃☆
行政書士塩崎事務所 http://www.shiozaki.biz
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